2010-03-07

『風が強く吹いている』、三浦しをん

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久しぶりに心を強く打ってくる小説だった。
『風が強く吹いている』、三浦しをん。

ぼくは長距離走が好きだ。
フルマラソンもホノルルで走ったし、いまも暇と気力さえあれば
近所の家のまわりを1時間くらい走ってくる。
走ることが好きなのに気付いたのは高校生のときだ。
高校時代、バドミントン部で主将としてバドミントン漬けの日々を
送る中で、昼休みに「ドームツアー」なるものを企画し始めた。
うちの高校は文京区内にあったので、東京ドームを一周して
帰ってきても、30-40分くらい。昼休みのいい練習になると考え
東京ドームを回って帰ってくるから、名前だけかっこよく
「ドームツアー」として走っていた。
ほかの部員たちは勿論バドミントンは好きだが
走る練習が好きなわけではない。女子部の主将から
あんたよくやってるわね~、と好奇のまなざしで見られたのを覚えている。

走っていると何を考えているんですか?
非常によく聞かれる質問だ。
「特になにも無心」と答えるタイプか「いろいろ」と答えるタイプか
の2つのタイプでいうと僕は後者だ。
ひたすら色んなことを考えている。
帰ってからの掃除の手順や仕事のtodo、だれそれと最近飲んでないとか。
くだらないことも、真面目なことも。

走っているとき、音楽は聞かない。
ジムでも走らない。
街のなかを走って、路地の裏に飲み屋を発掘したり
サラリーマンの横を通り過ぎていくときに会話を聞いたり。
何より風を切って走っていける、体調のいいときの
テンポが上がっていく感じは本当に気持ちがいいので外がいい。

さて、『風が強く吹いている』。
走ることが嫌いな人は多い。
でもこの小説は読んでほしい。そう強く思わされる小説だった。
走ることが好きな人には、絶対に読んでほしい。
走ることが更に好きになると思う。

映画化もされたみたいだが、その映画は一生見ない気がする。
僕の中の主人公たちがあまりにもvividに
頭のなかで映像化されているのだ。

箱根駅伝をテーマにした小説なのだが、来年からの箱根駅伝に対する
見方も変わったし、日テレさんはもっと選手の話にアプローチして
箱根駅伝を放映してほしいと感じた。
笑いあり、涙あり(いや、最後は泣かされっぱなし)の
本当に素晴らしい小説だった。
三浦しをんの小説は他にも読んでみたい。
久しぶりに、最後1ページ1ページ読み終わるのすらが惜しい本であった。

2010-01-17

この日を待っていたんだ (サントリー、2010年 成人の日の広告)

ふと目に留まった先週の成人の日のサントリーの広告。
「パパとおやじから」というくだりからはじまって
父親が娘、息子に語りかける内容である。
ぐっと来た。

パパは娘に静かに言った。
「大人の自分を大切に生きて欲しい。パパがママに出逢った日のように、まぶしくて、綺麗な日本語を話す女性になってくれよ」
オヤジはセガレに言って聞かせた。
「自分のことだけで精一杯の大人になるんじゃないぞ。いい友だちを作り、信じられるものを見つけるんだ」

まぶしい自分になることも、美しい日本語が話せるようになるまでも、良き友を得ることも、信念を発見することも、一年、二年じゃできやしない。いいものは時間がかかる。見てくれで人を判断するな。金で価値判断をするな。すぐに手に入るものは砂のようにこぼれる。本物を手にするのは苦しいぞ。
パパと娘は、オヤジとセガレは、この日、初めて乾杯をした。この日を待っていたんだ。なんだか美味いな。
「酒は品良く飲みなさい。人も、酒も品格だ」
二十歳の君たちに乾杯。

この日を待っていたんだ。

伊集院静


まぶしい自分になることも
美しい日本語が話せるようになるまでも
良き友を得ることも
信念を発見することも
本当に時間のかかることだ。
こういう日本語を一つひとつ丁寧に選んでこれること
それが紡ぎ合わされたメッセージとして人の心に届くこと。
読んでいてぐっと来た。

2010-01-12

上出・九谷・惠悟展「九谷焼コネクション」"KUTANI CONNEXION"

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表参道はスパイラルでの展覧会。
上出・九谷・惠悟展「九谷焼コネクション」。
KUTANI CONNEXION。

久しぶりに見た素晴らしい展示。新年幕開けにふさわしい内容でした。

九谷焼の作品を幅広く多くの作品を、様々な展示方法で
見せてくるのは本当に感心しました。
本当に層の厚さを感じる作品群たち、です。
上出長右衛門窯、としての正統派の作品から
KUTANI SEALとしてのワークショップ作品、そして
ちゅう右衛門のミニチュア九谷焼に、上出君自身の作品。
展示内容に、チームラボとかも絡んでいたりして。

上出くんがアーティストとして一人ではなしえない層の厚さを
窯元や多くの協力者と一緒に巻き込みながら
一つの大きなパワーにしているのを感じます。

現在森美術館の「医学と芸術展」においても
上出くんの作品は展示されていますが、ライティングや
作品の土台の高さなど展示方法がもう少し良くなるはずだし
展示場所や流れとしても作品の良さが伝わりにくい感じ。
少し残念ですが、こちらのスパイラルでは九谷焼の
可能性が全開で出ているので、こちらを多くの方に
見てもらいたいなぁ、と個人的には思います。

1月20日まで。表参道すぐ。無料。是非。

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2010-01-11

井上雄彦 最後のマンガ展 重版 大阪版

「井上雄彦 最後のマンガ展 重版 大阪版」
東京上野で見逃し、熊本に巡回していたが熊本はちょっと、、、
で正月大阪にいるので、これを逃すまい、と行けました。
素晴らしい内容。
近くにいらっしゃる方はぜひ。会期は3月14日までで
事前予約が必要。漫画としてストーリーを読んでいくため
大量に人数は捌けないための事前予約。
バカボンド、宮本武蔵の最終話という位置づけか。
体感型漫画、インスタレーションに近い。
バカボンドの話は殆ど読んでいないが、解釈が開かれている
のと生死に関するテーマを扱っており考えさせられる。
非常に良い展覧会でした。是非。

会場は閉館が決まっているサントリー天保山。

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とにかくカッコイイ。

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その場で携帯からみんなの感想を送信してもらって
プロジェクターに流す斬新な取り組みも。

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バカボンド、読んでみようかな、と
思いました。会場外に展示してある宮本武蔵。

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おせち(2010年)

遅ればせながら、あけましておめでとうございます。
今年もよろしくお願いいたします。
というわけで、そろそろ正月気分も抜けてくる頃ですが
今年のおせちを写真で。
毎年叔父(日本料理屋さん)が非常に気合の入った
おせちを作ってくれるのでホント美味しいんです。

ふぐの皮をあえて。

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そして、てっさ!

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全景を。定番おせちは勿論のこと、マグロに、海老に、鯛。

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関西なので、白味噌です。

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そして最後にてっちりを雑炊に。たまりません。

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おなか減ってきた・・・

今年もよろしくお願いいたします!

2009-11-02

マイケルジャクソン、This Is It

惜しい人を亡くしたものだと思った。

今までマイケルジャクソンを好んで聞いたわけでも
ないし、好きな曲があるわけではない。
特段思い入れもなかった。
最近J-Waveでよくかかっていることもあって
曲を聞くことが多いくらいで、
むしろメディアを騒がせていて、コンサートが
出来なかったのは人騒がせなことだし、
遂に死んでしまったのね、、、くらいにしか
思っていない存在、それがマイケルだった。

だけど、メディアを通じて作られていたそういった
イメージのマイケルジャクソンが、いかに多くの人に
支えられ、そしていかに多くの人に良い影響を与えて
いたのかがわかる、そんな映画だと思う。

むしろ映画というよりはライブに近いのかもしれない。
僕は比較的大きな映画館で見たが、それは非常によかった。
音響がしっかりしていると、グルーヴ感も伝わるし
ライブとしてすごくいい音で聞ける。
 # 最近、演劇を映画館で見せるのも多いが
 # ビジネスとしてライブを映画館で見せるのも
 # しっかり成り立つのではないかとも思ってしまった。

ライブに向けてチームが一つの方向に向かっていく。
「マイケルと一緒にステージに立てる」ということは
本当に夢のようであるはずだし、本当に光栄なはずで
それを彼ら/彼女らがカメラに向かって情熱的に語る
シーンが幾つも挿入される。

彼ら/彼女らの情熱、それが本当にやりきれない結果に
終わったことを思い、胸が痛む。
スワロフスキーを始めとして多くの関係者がいて
舞台装置や3D映像等莫大な費用と人が投じられていた。
だが、そのライブは、主人公がいなかったので実現しなかった。
それら関係者の想いを考えるとやりきれなさが募ると共に
メディアを通じて「虚像」となったマイケルではなく
「音楽に情熱を傾けていた」マイケルを見てほしいという
関係者の想いが伝わってくるようだ。

50過ぎには見えないキレのある動きと
心を震わす歌唱力を持つマイケルのライブを
完成された形で見たかったという想いが募る。
あれくらいの「エンターテイメント」が出来る人材
となると、もう殆どいないのではないだろうか。

僕が言うような台詞ではないのかもしれないが
惜しい人を亡くしたものだ、と本当に思った。
2週間限定とのことなので、是非とも観に行ってほしい。
Michael Jackson(マイケルジャクソン)、This Is It